天狗ナス

 天狗の鼻のように果実の一部が突起状に出てくる奇形果で、どんな種類のナスにもまれに発生します。とある地方では、奇形が生まれやすいナスを特産品にしているところもありますね。
 普通のナスと味は変わらないと思うのですが、一般に売られないのは、鼻の部分は折れやすく折れるとそのキズから傷みが進行するため、流通には乗せにくいためです。

又ナス

 ふたつの実のヘタの部分がくっついて、二股になったナスです。花がくっつくことはたまにあるのですが、商品にはならないので見つけたら摘花してしまいますが、見逃しがあるとこうなります。ふた又どころか3又、見たことはありませんが世の中には6又というのもあるそうです……。

花つきナス

 花つき果は、花ビラが成長途中の果実にくっついて日光をさえぎり、紫が濃くならないため、花の模様がナスの果実に転写されたものです。表面の一部が模様のように薄くなっているのですが、傷や病気ではありませんので、正常なナスと変わりません。市場で花つきは、キズとはみなしていません。

ぼけナス

 ぼけナスは、ツヤ無し果とも呼ばれるように、ナスの特徴である光沢やツヤツヤ感がありません。正常なナスに比べると、見た目メリハリがなくまさにボヤッとした印象を受けます。水不足が原因なことが多く、実が固くてみずみずしさが足りないので、美味しさは劣ります。煮ものにすれば味の違いはわからないですね。
 ぼけ方の度合いは、個体によってまちまちで、全体がぼけているのものから、半身だけあるいは一部がぼけているもの、色が薄いものなど、いろいろです。

ランプ(電球型)ナス

 かつて一般的な白熱電球のことをナス型電球と呼んでいました。下がぷっくり膨らんだナスをランプナスと呼ぶように、電球型のイメージがナスにもありますが、ナスとしてはC級品という扱いです。
 というのも、ナスの果実は最初に縦に伸び、そして横に肥大します。したがって健康で元気なナスは長めとなり、樹が弱ると縦の伸びが悪くて電球型のナスとなります。

石ナス

 石ナスは皮だけでなく実も固いナスです。主に受粉が完了しないまま子房が膨らむことで、実の下が茶色くかさぶたのように変色して固くなってしまいます。このような実を単為結果と呼ぶそうです。受粉がちゃんとできていないため子房が順調に成長せず、固いナスとなるとのことです。
 変色した部分は固く、傷んではいないのですが、食べても苦みや渋みがあったりして美味しくないですね。


秋ナス

 露地栽培において、ナスは6月から収穫されますが、6月から8月までは夏ナス、9月以降に収穫されたものを秋ナスと呼んでいます。秋ナスという品種があるわけではありません。
 夏ナスは、強い日光を浴びて暑い時期に水を大量に吸い上げて早く成長し、実の詰まったみずみずしい茄子になります。これに対し秋茄子は、昼と夜の気温差が大きくなり柔らかくなった日光で育つので、成長がゆっくりになり、甘みや旨味がしっかり凝縮されます。大きな実になるには、時間がかかり、その間キズも増えるので小ぶりなまま収穫されます。
 

茄子紺

ナスの特徴と言えば、紫を帯びた深い紺色! 日本の伝統色である「茄子紺」は江戸時代から使われています。

茄子紺(なすこん)nasukon
RGBR:130 G:72 B:128
CMYKC:61 M:82 Y:00 K:28
Webカラー#824880