七宗で稲作をしています。だいたい5月連休中に植え付け、9月1日前後に稲刈りをしています。七宗では、谷間に田んぼがあって大きな面積の田んぼは確保できず、山間のため日当たりには恵まれず、谷川の水は冷たく、気温も低め、イノシシやシカの獣害やカメムシなどの害虫被害があって、けっして稲作に適しているとは言えません。でも、水はキレイで土壌汚染もなく、ゆっくりうま味を蓄積して育つので、なかなか美味しいお米がとれる地域だと思います。

あきたこまち」を作付けしています!

あきたこまち」は、コシヒカリに別のコメを掛け合わせ、寒さの厳しい秋田の気候に適するように品種改良されたもので、山間部も適応しています。コシヒカリより甘味があっさりしていて、粘り気がやや少ないのが特徴でしょうか。個人的にはコシヒカリより好みな味で、和食によく合う品種だと思います。神渕でもコシヒカリについで作付けが多い品種です。玄米としても、あまりバサつかないのは、コシヒカリ譲りですね。

あきたこまちを選んだ理由

 水田に引き込む水が冷たい神渕では、冷害を受ける可能性があるため、あきたこまちを選んでいます。また、谷沿いに集落や田園がひろがる神渕では、強い谷風がふくことがあるので、背丈が比較的低く茎が太くて倒れにくいあきたこまちにしています。収量量を稼ぐなら、実りの良いコシヒカリの方が有利ですね。

代搔き

 4月の頭には、必要な肥料を入れ、春おこしをしておきます。
 代掻きの3~4日前には水をいっぱいにはり、準備をしておきます。水を張った田面を、トラクターのロータリーで攪拌します。トラクターになって、代掻きも短時間で終わるようになりました。

トラクターにロータリー
4月下旬
1

田植え

【栽植密度】
条間:30㎝
株間:18㎝
植付本数:3~4本

 いもち病やイネミズゾウムシの防除のため、直前に箱施用剤を規定量ふりかけておきます。育苗箱の苗を田植え機にセットすれば田植えができます。
 植える苗の本数を多くすると茎が細くなり、密度が高くなって湿気がこもり、いもち病や紋枯病を引き起こす要因になります。

田植え機による作業
5月初頭
2

雑草防除

 田植えをしてある程度稲が定着する3~4日後から1週間以内に投げ込み除草剤を散布しています。大きい雑草には効かないので、散布前、浮いている雑草などなるべく除去していますが、なかなか取りきれませんね。ちなみに、散布後に水田に入るとせっかく形成した雑草を抑える層を壊してしまいます。

1週間 は水を抜きません

 散布をしたら1週間、潅水状態を保ちます。潅水やかけ流しは、効果を薄めるだけでなく川を汚染することになるので厳禁なのです!  また、水を抜くと形成された被膜が空気に触れ、壊れてしまいます。農業に携わるものとしては、このあたりはしっかりと管理しなければなりません。

STEP
3

分けつ期

田植えをした苗が活着すると、次々に分けつをし茎数が増えていきます。

幼穂ができるころになると、分げつは止まり、茎が伸び始めます。

STEP
4

中干し

 水をいっぱいに入れて、しばらく放置し、水が自然にひいて土面にひび割れがでるくらいまで乾燥したら、また水をいっぱいに入れて放置を3回ほど繰り返します。こうすると根張りが良くなり、台風が来ても倒れにくい丈夫な稲になります。

STEP
5

追肥(穂肥)

 元肥に緩効性一発肥料を使用したら、追肥しません。以前は一発で済ませていたのですが、出穂とのタイミングが合わないようなので、次期を自由に決められるように分けることにしました。
 ただ、あきたこまちは葉の色がずーっと濃いままなので、タイミングを葉の色で判断できません…

実肥はNG

穂肥は、リン酸が入っていない肥料を使います。実肥はやりません。蛋白含有量が増えて味が落ちてしまいます。

STEP
6

出穂期

 例年、7月の中旬ごろには出穂をします。この頃、ウンカの発生が見られ、ときどき大量発生します。イネを吸汁しウイルスなどを媒介するのでやっかいです。
 また、穂が出ると少しづつ斑点カメムシも目立つようになってきます。カメムシに吸われると斑点米となって、色が付いたり未成熟になって等級落ちしてしまいます。

草刈りでカメムシ被害を軽減

斑点カメムシの侵入を防ぐことができるというので、7月の中旬と8月の初旬に畦畔雑草の草刈りをするようにしています。
※近年、カメムシの被害が増えているようで、共同防除を待たず薬剤による防除を検討しています。

7月中旬
7

病害虫防除(共同防除)

 ちょうど間断潅水をしている時期です。カメムシの被害が広がるこの時期に地区でいっせいに病害虫防除を行います。個々で行うと害虫が安全地帯へ移動するだけになって効果が激減! なので、防除前には共同の草刈りが組まれます。
 薬液の散布はラジコンヘリを使い、1日で地区全体の水田をカバーします。天候に左右されるので、いいタイミングで散布できればラッキーと言わざるを得ませんね。特に風が強いと、薬液が水田以外にも飛散し、作物によっては出荷に影響しかねません。

STEP
8

稲刈り

 出穂から30~40日で稲刈りです。このころには穂の9割以上が黄色く実っています。稲刈り前までに、水を抜いて完全に田を乾かしておきます。でないと、大型稲刈り機(コンバイン)が入りません。
 稲刈りは農協に依頼しています。かつては稲刈り機その他を所有していたのですが、老朽化して買いなおすには、個人所有は効率が悪すぎます。稲を刈った後の作業(天日干し、脱穀、乾燥、もみすり、藁散布)もいろいろ農機が必要です。

Jpeg

刈り遅れると…

刈り遅れると、稲が倒れ、穂発芽してしまったり、割れ米が多くなったり、茶色い粒が増えたりして米の品質が下がってしまいます。稲刈りの時期に雨が続くと、稲刈りのタイミングが取れなくて苦労します!

STEP
9